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「手に負えないような自分が、どこかにいるのかも」。モデル、ブランド立ち上げなど、華やかな経歴を持つ彼女の等身大のVOICE(アパレルディレクター/23歳)
「手に負えないような自分が、どこかにいるのかも」。モデル、ブランド立ち上げなど、華やかな経歴を持つ彼女の等身大のVOICE(アパレルディレクター/23歳)

「手に負えないような自分が、どこかにいるのかも」。モデル、ブランド立ち上げなど、華やかな経歴を持つ彼女の等身大のVOICE(アパレルディレクター/23歳)

「自分で自分のことがわからない」。取材中、彼女は何度もその言葉を口にした。14歳からモデル活動をはじめ、18歳でアパレルブランド「RANDEBOO」を立ち上げ、23歳の今年には、同ブランドの初店舗をルミネ新宿2にオープンさせたSEIKA。華やかな経歴を持つ彼女の、等身大の思いとは。

「手に負えないような自分が、どこかにいるのかも」。モデル、ブランド立ち上げなど、華やかな経歴を持つ彼女の等身大のVOICE(アパレルディレクター/23歳)
大人っぽく見える彼女だが、幼い顔立ちがコンプレックスなのだという

自分は何のために生きているのだろう。自分とはどういう人間なんだろう。頭の中に永遠とこだまするこの問いの奇襲を、多くの人が一度は経験した覚えがあるのではないだろうか。人生において「自分」という人間と向き合うことは余儀なくされていて、その自分とうまく付き合っていくことは、いつだって難しい。


自分のことを、どんな人間だと思う?
「うーん……。どうなんだろう。よくわからないんです」

周りからはなんて言われる?
「はっきりしているねって。たしかに白か黒かはっきりさせたくて、真ん中を取りたくない性格だとは思う。頑固だね、とも言われます」

それに対して自分ではどう思う?
「わからないんです。自分について、あらためて考える時間って今までほとんどなくて、作ろうともしなかった。だから、今でも自分のことが全然わからない」

少し戸惑った表情を浮かべながらそう話すのは、アパレルブランド「RANDEBOO(ランデブー)」のディレクターを務めるSEIKAだ。自分と向き合ったことがあまりない、自分のことがわからない、と繰り返す彼女。生きていると嫌が応でも「自分」との対峙は避けられないように思うが、彼女には、なぜ今までその機会がなかったのだろうか。


どういう幼少期を過ごしていた?
「札幌で、プロゴルファーを目指していました。父親がもともとプロゴルファーになりたかったみたいで、彼自身の夢を託されて。幼い頃はゴルフ漬けの毎日でした」

それは、どんな気持ちでやっていた?
「ゴルフは好きだったので、無我夢中で練習していました。楽しかったですよ。やらされていた感じは全然なかったです」

そこからなぜモデルに転身を?
「14歳の時に、父親が『モデルをやってみたらどうか』と突然言い始めて。6歳上の姉が一足先にモデルをやっていた影響もあると思います」

彼女の人生の前半は、どうやら「父親」の存在による影響が大きいようだった。親がそっと差し伸べるレールに、彼女はうまく乗って歩みを進める。

「手に負えないような自分が、どこかにいるのかも」。モデル、ブランド立ち上げなど、華やかな経歴を持つ彼女の等身大のVOICE(アパレルディレクター/23歳)
笑っていたかと思えば、突然物憂げな表情を見せる。「最近、笑顔が少ないって言われるんです」


親から言われて始めたことじゃなく、自分でやりたくて始めたことはある?
「それがまさに、今やっているアパレルブランド『RANDEBOO』。モデルは、始めたものの向いていなくてずっと悶々としていたんです。そうしたら、当時からパートナーだったTAKUMAが『新しいことを始めよう!』と言ってくれて」

じゃあ、「RANDEBOO」立ち上げのきっかけはTAKUMA?
「はい。私ひとりじゃ絶対に立ち上げていなかったですね。TAKUMAがいなかったら、私は今頃、どこかで退屈な人生を歩んでいたかもしれない」

ここまで聞いていて、彼女の近くには、いつも「枠」を整えてくれる存在が側にいるのだ、と思った。彼女が自由に挑戦できるための、心理的、経済的に安心ができるような枠。

もちろん、彼女自身の血の滲むような努力や葛藤があったからこそ今があることに間違いはないが、父親、TAKUMAという「枠」を与えてくれる存在は大きかったのではないだろうか。「枠の中の自由」という言葉が脳裏によぎる。


枠の中での自由の方が、居心地がよかったりする?
「そうかもしれない。今まで、お父さんやTAKUMAなどが用意してくれた枠の中でがむしゃらに走ってきたから、自分のことを考える余裕や、必要がなかったのかもしれないですね。自分でゼロから枠を作り出したことって、言われてみれば、まだないです」

SEIKAが作り出す「RANDEBOO」の服は、匿名性の高いコンサバティブなファッションだ。けれど、そのブランドが放つ雰囲気には、個性や意思が感じられる。

絶対的な安全地帯にいる、けれども挑戦的──それはSEIKAの「枠の中で自由に生きる」という生き方に通ずるところがあるのかもしれない。そう言うと、「たしかにその通りですね。気づかなかった」と彼女は驚いたような顔をした。

「手に負えないような自分が、どこかにいるのかも」。モデル、ブランド立ち上げなど、華やかな経歴を持つ彼女の等身大のVOICE(アパレルディレクター/23歳)
この日の服装はすべてRANDEBOO。「トップスは秋の新作なんです」とSEIKA


「このあいだ、ひさしぶりに1週間くらい一人になる機会があったんですが、そのとき、嫉妬をしてしまっている自分に気づいたんです」

嫉妬?
「そう。周囲の頑張っている人たちと比べて、落ち込んだり悔しがったりしている自分に気づいてしまった。今まではそんなことなかったから、自分では『こんな自分の感情なんて知らない』と戸惑っていたら、TAKUMAには『今さら気づいたの?』って言われましたが(笑)」

SEIKAさんにとっては、はじめて気づいた自分の感情だった。
「そうなんです。もしかしたら、まだまだ手に負えないような自分がどこかにいるのかもしれない。表現できていないだけで」

それはあるかも。
「どれが本当の自分なのかって、今はわからないんです。お父さんの期待に応えようと頑張っていた自分、モデルとしてカメラ越しで笑っている自分、ひとりで嫉妬に苦しんでいる自分。本当の自分を自分でもまだ全然見たことがなくって、いっぱい層が重なっているイメージ。そういうのを、いつか全部取っ払ってみたいですね。怖いですけど」

彼女の中には、まだ見つけられていない自分が、「枠の中」では表現されることのない何かが、きっとたくさん眠っているのだろう。

「手に負えないような自分が、どこかにいるのかも」。モデル、ブランド立ち上げなど、華やかな経歴を持つ彼女の等身大のVOICE(アパレルディレクター/23歳)
自由にのびのびと生い茂る木々。木漏れ日が美しかった

『何にも囚われず、自由に変化し続けて』。これが、RANDEBOOが掲げるコンセプトだ。彼女はこれからも、きっと自由に変化し続けていく。それは、誰かが用意した枠の中なのか、それとも、その枠すらも飛び越える瞬間がくるのだろうか。

自分と向き合わざるを得ない瞬間は、いつ訪れるかわからない。それはある時には就職活動などの必然的なタイミングで、それはある時には何かとの偶然的な出会いによって、それはある時には自分自身に突然湧き上がる衝動によって。私たちは日々生き、出会い戸惑いながら、自分という生き物と向き合っていくしかない。

彼女はまだ23歳。彼女自身も気づけていない彼女の姿、そこから生まれる表現を、いつか見てみたいと思う。

「手に負えないような自分が、どこかにいるのかも」。モデル、ブランド立ち上げなど、華やかな経歴を持つ彼女の等身大のVOICE(アパレルディレクター/23歳)
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