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「自分探しをしてるんですよ、36年間ずっとアイスクリームを偏愛する彼の生き様とほんの少しの本音(アイスジャーナリスト・イートデザイナー/36歳)
「自分探しをしてるんですよ、36年間ずっとアイスクリームを偏愛する彼の生き様とほんの少しの本音(アイスジャーナリスト・イートデザイナー/36歳)

「自分探しをしてるんですよ、36年間ずっと」アイスクリームを偏愛する男の生き様とほんの少しの本音(アイスジャーナリスト・イートデザイナー/36歳)

「自分探しをしてるんですよ、36年間ずっと」アイスクリームを偏愛する男の生き様とほんの少しの本音(アイスジャーナリスト・イートデザイナー/36歳)

TOKYO VOICE VOL.6で取材させてもらったアイスジャーナリストのシズリーナさん。世の中のあり方が大きく変わり、不安定なムードが社会に漂う中、彼は変わらず精力的に活動している。テレビへの出演が増えたり、かき氷専門店「れもん」を構えたり。活躍の場が広がるのに比例して、「多い日は1日12個食べます」と、アイスクリームへの愛も加速しているみたいだ。






シズリーナさんは、年間4,000個以上のアイスクリームをテイスティングする生粋のアイスクリームマニア。好きが高じてアレンジレシピの考案や商品プロデュースを手がけるほか、テレビやラジオにも多く出演する。今まで食べた総数は45,000個以上という彼が、今年7月、六本木にかき氷専門店「れもん」をオープンした。



例年より暑い夏だった。取材の日は36度を超える猛暑日。お店に着くなり「暑いですね」と出してくれた看板メニューの「ハニーレモン氷」が火照った身体に染みた。

「自分探しをしてるんですよ、36年間ずっとアイスクリームを偏愛する彼の生き様とほんの少しの本音(アイスジャーナリスト・イートデザイナー/36歳)

―さらっさらで雪みたい。まさにパウダースノーって感じですね。

「氷って、はやく凍らせたら結晶が小さく、ゆっくり凍らせたら大きくなるんです。この氷は、マイナス50度の回転するドラムの表面に液体を垂らして瞬時に凍らせています。なので氷自体はかなり細かいし、出来たてなんですよ。やっぱり何でも出来たてが美味しいんですよね。でも、普段食べてるかき氷の氷がいつ出来たかなんて知らないじゃないですか。ずっと冷凍庫に入れていたら、冷凍庫の独特な匂いが氷につくのも嫌だし。出来たての氷を作りたいなと思っていたら群馬でこの機械を見つけて。日本にはまだ10台くらいしかない貴重なものみたいです」

「自分探しをしてるんですよ、36年間ずっとアイスクリームを偏愛する彼の生き様とほんの少しの本音(アイスジャーナリスト・イートデザイナー/36歳)

−シズリーナさんはアイスジャーナリストじゃないですか。なぜアイスクリームじゃなくてかき氷なんですか?

「アイスジャーナリストとしてテレビに出させてもらったり取材受けたりいろんな活動してて、これでアイスクリーム屋さんを始めたらいい宣伝になりそうじゃないですか。でも、アイスだけは一生趣味にしておきたいんです。仮に仕事にして、お金欲しさになっちゃう自分も嫌だなと。アイスだけは純粋に愛していたいんですよ。あと、今までアイス、ソフトクリーム、ジェラートは勉強してきたけど、かき氷だけは自分の人生で一度も勉強したことがなくて。でもお店を開いちゃえば勉強せざるを得ないじゃないですか。人間ってそういうものじゃないかなと思うんですよ。何かに縛られなければやらない。人生の締め切り。自分がいつ死ぬかなんてわかんないですよね。アイスジャーナリストとしてかき氷は通るべき道だと思うし、だったら自分で制限をかけて、かき氷と向き合うのは今だって決めて」







人生の大半を趣味であるアイスクリームやかき氷に捧げる彼。企業から依頼を受けてコラボ商品の開発やPRもしているそうだが、そこからは全く収入を得ていないという。

「よくプロモーションにいくらかかるか聞かれるんですけど、値段つけたことないから分かんないんですよね。0円ですって答えてます。アートなんですよ、自分の中では全部。ただ食べたいだけだし、いいのができたら嬉しい。もはやアーティストだよねって言われることもありますけど、自分でそう名乗るのはおこがましいです。アーティストって肩書きでもないし、アイスだけでなく色々手がけてるから食デザイナーなのかなとか……なんかもう、自分の生き方がわからないんです最近。何者かわからない。自分がないんですよ、多分。自分探しをしてるんですよ、36年間ずっと。この大のおっさんが」

「自分探しをしてるんですよ、36年間ずっとアイスクリームを偏愛する彼の生き様とほんの少しの本音(アイスジャーナリスト・イートデザイナー/36歳)

―シズリーナさんには、奥さまと2才(取材時)の娘さんがいらっしゃいますよね。ご家族のアイスクリーム活動への反応はどうですか?

「妻は大反対ですよ! 就職しろって言われますね。『そんなにアイスが好きならどこかのアイスメーカーに入ればいいのに』って」

―そう思う気持ちもわかる気がします。

「本当ですか。夫婦仲もアイスのように冷え切ってますよ。アイス専用の冷凍庫が私の部屋にあるんですけど、開けられないように鍵かけてます。捨てられるかもしれないから。うちのヒエラルキーは、トップが子供と妻、次に植物、ルンバと続いて、そのあとに私です(笑)。ルンバが段差に引っかかってたら、『ちょっと、助けてあげなさいよ』って怒られるんです。え〜?、みたいな。まあ、アイスと夫婦仲は1回壊れたら元には戻らないですからね。アイスクリームって、一度溶けたものを冷凍庫に入れても元に戻せないんですよ。元のあの味にはならないし、夫婦も一度壊れたら元に修復できないんです」



―シズリーナさんがアイスを愛しすぎているがゆえに、奥さまがアイスに嫉妬してることはないですか?

「あ、でもそれあるかも。嫉妬してるのかもしれない」

―アイスへの愛情を奥様に分ける気持ちは?

「38才まではないですね。あと2年。基本的にアイスとカップヌードルが主食なんですけど、企業さんからPRする商品を預かってる時に体壊しでもしたら迷惑かけるじゃないですか。1日10個以上アイスクリーム食べるのって体に負担かけるんで。一応毎月病院で検診してますけど、今のペースだと38才になった頃には確実に糖尿病になっちゃいますね。今より健康を害してしまったら、アイスより家族にもう少し愛情を注げるようになるかもしれません」









与えないけど、見返りも求めない。そんな彼が、奥さんに言われるのを待っている言葉があるそう。

「出て行けって。そう言われた時のために、すでにキャリーバックを準備してます。その言葉が出たらすぐ家出して、ご当地アイス巡りの旅に出ます! あと、これはゆくゆくなんですけど……自分が死んだら、棺桶にドライアイスじゃなくてアイスクリームを入れて欲しいですね。それで焼き上がりがどうなるかまで含めて自分の人生。なんか甘い香りがして、みんながアイスクリーム食べたくなったらいいじゃないですか」

「自分探しをしてるんですよ、36年間ずっとアイスクリームを偏愛する彼の生き様とほんの少しの本音(アイスジャーナリスト・イートデザイナー/36歳)

無邪気にそう語る彼が、最後にポツリとこんなことを漏らした。

「本当はわかってるんです。午前4時の、月と太陽が入れ替わるあの瞬間。世界がミッドナイトブルーに染まるあの時だけは本当の自分と向き合えて、自分の方がダメなんだってちゃんとわかるんです」


家庭を顧みず、お金にならないアイスクリーム研究に日々明け暮れる夫と、家庭を守る妻。一般的に考えると、奥さんの側に立つ人の方がきっと多いだろう。でもこういう突き抜けた人たちが、社会を少し楽しい方へ変革したりしているのかもしれない。

シズリーナが変える未来のアイスクリームライフ。

それはとっても甘いのか、それともビタースイートな大人の甘さなのか……。

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