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「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)
「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

いつも通り、Tiktokでおすすめをスクロールしていると、「ワクチン摂取行ったら医者に惚れられた」という、かわいい女性の動画に出会い、とても気になった。

どうやら、医者に惚れられたのは彼女の思い込みで、それは通常のワクチン摂取で行われる手順や流れで、ただの勘違いという笑える内容になっている。面白いと思って、その人のページにとんでみた。

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)
風呂姉さんのTiktokアカウント(@furoane)

アカウント名は風呂姉(@furoane)。元雨上がり決死隊の宮迫さんが扮するキャラクター「轟さん」のメイクを施したアイコンは、強烈なインパクトだ。

彼女の投稿は、一人全身タイツでハロウィンパーティーに参加していたり、泥酔して地面に寝ていたり、とにかくユニークで面白い。そんな投稿とは裏腹に、キレイな容姿のギャップに驚かされたのだ。

まずは、こちらのリンクから動画をご覧ください。https://www.tiktok.com/@furoane
ね、気になるでしょう。

「何故こんな動画をアップしているのだろうか?」。彼女に会って、直接話を聞いてみたい。早速、新幹線に乗り、彼女が住む神戸へと向かうことにした。

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

待ち合わせたのは、風呂姉さんの母校のバス停「青谷」駅。三宮駅前からバスで15分の「青谷」駅は丘になっていて、海を一望できる穏やかな街。周辺は学校も多く、学生の笑い声や話し声が時折聞こえてくる。

バス停前で待っていると、バスから風呂姉さんが下車してきた。

「すみません。遅くなりました」。お笑いタレントのような、賑やかでお喋り好きな人が来るかと思ったら、礼儀正しい極めて真面目な印象の人だった。

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

東(あずま)梨恵。33歳。

高校を卒業後、専門学校に通い、歯科衛生士の資格を取得。専門学校卒業後は、歯科衛生士にはならずに、両親が経営する飲食店を手伝ったり、フリーランスでWeb関係の仕事をしたりししていた。現在は、Webメディアの運営の会社を設立している。

21歳で初めて「ニコニコ動画」に動画をアップし、その後、2018年Twitterにあげた投稿をきっかけに、少しずつ投稿を増やしていこうと思ったという。

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

「この投稿がバズって、数百人だったフォロワーが、バッと5,000人くらいに増えました。その時に、このままちょっとずつ頑張ろう。頑張ろうっていうか、更新をしていこうという気持ちになりました」

2020年からyoutubeやtiktokなど、活動の幅を広げ、今では、SNSのフォロワー数は、tiktok8.7万人、Twitter4万人、Instagram1.6万人、YouTube3万人。合計すると、約17万人にもなる。人気インフルエンサーともいえる総フォロワー数を誇る彼女だが、その心のうちは意外なものだった。

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

―コロナワクチンの動画、すごいバズってましたね。

「バズっても、そこまで感情の変化がないんですよ。フォロワーが増えたり、いいねがついたりしたら嬉しいですけど、『有名になった!もっと投稿頑張ろう』とは、あまり思わないです。絶対にしんどくなるので、いいね数とかフォロワー数は追い求めません」

「あと、ネタを考えてメンタルがしんどくなるのも嫌なんです。芸人さんとかって1回売れると、同じようなネタを披露して、1年くらいで消えたりするじゃないですか。そうゆうのは気にしてメンタル病みそうなので、バズったとしても、同じコンテンツばかり投稿しないですね。『これがみんなにウケるんだ!またやろう』とはならないですね。ならないようにしているのか、無意識にしているのかは、ちょっとわかんないですけど」

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

―高校の時から、こうゆうキャラクターでした?

「高校の友達は、何をしても驚かないですね。『やりすぎや』とかはたまに言われるんですけど、でも別に不思議じゃないって感じだと思います。友達の前でも全然変わらないんです。むしろ変わらなすぎるというか、芸しかしてないです。一緒に旅行行く時も何か一発芸を持っていきます。友達を驚かせようと思って、香港旅行ではヌンチャクを披露したり、韓国旅行ではカツラを持って行ったりしました」

―友達には、恋愛や仕事の話もしないんですか?

「全くしないです。ネタとしてオチがあれば話しますが、相談はしないです。友達には、相談とか悩み事を全く話さないんですよ。何の仕事をしているかとかも話してなくて、適当にニートとか言っています(笑)。なので、友達には、ただのニートの酒クズだと思われています(笑)。学校を卒業してからは、ほとんど飲みの場にしか行かないですね。話すことがないので、ランチとかは好きじゃないんです」

―そうすると、友達は飲んでいるかギャグをしている東さんしか知らないってことですよね?

「そうですね(笑)。だからフォロワーさんと変わらないなって思うんです。フォロワーさんへの接し方と友達への接し方は同じなんです。そこは確かにちょっと変わってるかなと思うんですけど」

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

―フォロワーさんのコメントには、ちゃんとコメントを返していますよね。それは、友達にライン返すみたいな気持ちですか?

「友達ノリで返してます。コメントで『いつもありがとうございます』という感謝はしません。期待されたくないんですよね。いい人に思われるのが嫌で。私が地面で寝転がっていても、全く炎上しないんですけど、アイドルの子が地面で寝転がってたら、たちまち炎上するじゃないですか。だからあんまりいい人でいたくないんです」

―子供の頃から、そうだったんですか?

「それはあるかもしれないです。小さい頃から、人と競いたくないと思っていました。友達にも期待されないように生きています。期待されたくないんですよ。期待するから、裏切られるじゃないですか。『信用していたのに』とか『こんな子やと思わんかった』とか、言われたくないし、そうなりたくないです。私の周りには、泥酔してもバカなことをしても、許してくれる友達ばっかりなんですけど、逆に期待もされていないです。そもそも期待ってなんなんですかね」

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

―あまり人に見られたくないような自分の泥酔している姿も投稿しているのは、なぜですか?

「クズなのは直せないので、それを許してくれる人にフォロワーでいてほしい。そういうフォロワーを探しています。実際、SNSは投稿したいときにするのですが、1ヶ月更新しないときもありますが、それでも怒ってくるフォロワーさんはいません。あと、今話をしていて思ったんですけど、“マウント女子”の戦いに入りたくないっていうのがあると思います。”変な子”って思われた方が楽っていうか。比べるところじゃないと思われるみたいな。普通の女子のフィールドに行きたくないんですよね。しんどいから。基本的にしんどいことから、逃げる道を多分考えているところがあります」

「2:6:2の法則」というのがある。

どんな組織にでも自分に対して「好意的な人2割・どちらでもない人6割・好意的ではない人2割」がいるという法則。何をしても2 割の人からは嫌われるので、好意的ではない2 割を気にするのだったら、好意的な2割とだけ付き合って自分らしさを大切にしたほうがいい。

現に、あらかじめ貼られた予防線”あずま免疫フィルター”を潜り抜けた強者のみが、東さんの周りには集結している。

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

取材後に「ご飯でも」と、東さんとカメラマンと三宮の飲み屋に入った。お酒を飲みながら、枝豆やシメサバをつまみ、先ほどよりもフランクに私の個人的なことも含め、いろんな話をした。

―私の知り合いで、仕事の人間関係や多忙が原因で鬱みたいになってしまって、仕事を休職している子がいるんですが、そうゆう人に東さんはなんて声をかけますか?

「そこだけが世界じゃないよってくらいしか、言うことないですね(笑)。私はこう見えて人間関係で気にしいなところもあって、だからあんまり人と仕事をしたくないので、個人で仕事をしています。鬱になるほど頑張る必要なんかないんじゃないですか」

―逃げ出せばいいってことですよね?

「そうです。全部逃げればいいと思っちゃうんですよね。頑張らなくていいと思います。ただ私でもやり切ることは何度もありました。例えば、歯科衛生士の専門学校でも鬱みたいになったんですけど、国家試験までは頑張ろうと決めて、その後は一切歯科衛生士の仕事はしてません。卒業後に歯科衛生士の仕事には就かないと思っていたので、さっさと逃げてやめてもいいと思うんですけど、やり切ったことはどこかで自信に繋がっています。なので、近い目標を決めてそこまで頑張って、そこからはもう頑張らないという選択もあると思います」

―その言葉、その子にかけてあげたいなと思います!

「これで成功してたらいいんですけど、別に成功してないんで、ためにならないかもしれない(笑)」

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

―今、幸せですか?

「幸せです!夢とか目標とか、そんなにいらないかなって思ってます。それがしんどくなっちゃうと思うんです。今が楽しくて、自由に生きられたらそれでいいなと思ってます(笑)」

❇︎

・「基本的に逃げてます。しんどいことから」
・「好きな人なら結婚したいと思います。けど、もう諦めてます
・「小さい頃から、人と競いたくないと思っていました」
・「友達にも、期待されないように生きています」
・「基本しんどくなりたくない。というのがあって、頑張りすぎたくない

・逃げる
・諦める
・競いたくない
・期待されたくない
・頑張りすぎたくない

東さんの言葉には、「回避」を意味する言葉がたくさん散りばめられていることに気づいた。

この言葉だけ聞くと、孤独でどこか冷めているクールな人だと感じるが、実際の東さんはそうではなかった。

「”いい人に見られたい” ”可愛いと思われたい” ”周りの期待に答えたい”という承認欲求は、誰にでもあると思います。でも、その欲求に飲まれてしまうと、しんどくなってしまいます。だから、それを回避するために、クズな一面も出すし、周りに期待されないように生きています」

カメラマンから、LINEが入った。バーの位置情報だった。

私は予定があったので、1軒目の途中で失礼したのだが、どうやら3軒目の飲み屋に移動して、飲んでいるということだった。てっきり1軒で解散していると思いきや、2軒目も行き、さらに3軒目というから、とても驚いた。だが、取材中のインタビューを思い出した。「飲まなかったら、飲まなくていい人ですけど、1杯飲んだら止まらないです。記憶なくなるまで、飲みたくなります」

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

「あの話、本当だったんだ……!」。怖いもの見たさでおっとりそのバーに駆けつけると、真摯に質問に向き合ってくれた東さんの姿はなかった。

凄まじい変顔を披露したり、気付いたら履いていたはずのズボンを脱いでいたりと、とりあえずなんというか凄かった。でも、よくSNSで見る東さんの姿だった。

「夢とか目標とか,そんなにいらないかなって思います」。SNSで“泥酔姿”も発信する、自分らしい正直なVOICE(インフルエンサー・WEBディレクター/33歳)

案の定、最後は泥酔して寝転がっていた。それを見て、不愉快に思った通行人もいたかもしれない。しかし、なかなか起きない東さんを立ち上がらせてタクシーに乗せることなんて、私には大したことではなかったし、一緒に飲んだのもとても楽しかった。

気づけば、すっかり彼女のファンになっていた。私も”あずま免疫フィルター”を潜り抜け、あずまフィールドに放たれていた。

東さんが言っていた。
「私だけのフィールドで、人と比較されずに生きていたい」
「自分の好きに生きていても、いい子でいなくても、可愛くなかったとしても、私のフィールドに入って来てくれる人だけと関わりを持てればいいと思っています」

誰もが自分らしく、ありのまま、楽しく生きていいのだ。

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