TOKYO VOICE

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男性も女性も
自分なんですよ

だから人間に恋は
できないかも

恋愛より楽しいことを
見つけちゃったんです

私は普通にみんながワンピース可愛いって言ってるのと同じように、メンズ服が本当に好きで、これカッコいい、着たいって思うんです。小6からこういう仕事を始めて、それから自分からファッションに向き合うようになりました。それまでは与えられたものを着るってだけで、撮影とかでスカートを履くこともあったんですけど、なんかあんまり好きじゃなくて。家族や周りには「スカート履かないの?」とか、「男の子みたいだね」って言われるようになって、だんだん自分がちょっと周りと違うんだなって気づくようになりました。

「ジェンダーレス」って、そのままいえば性別がないってことだと思うんですけど、ファッションとか見た目だけでなく、私は中身も無性別。体は女性だし、かといって男性とも違うっていうのがあって悩んでた時期もありました。自分でいろいろ情報を集めるうちに、ジェンダーレスな雰囲気の韓国人モデル、カイトさんの存在や、タイには10種以上も性別があるとか、海外の性別事情を知って、ああ、決めなくていいんだって、思って。「じゃあ、何者なの?」って聞かれた時に、「私は中山咲月です」って答えられるように、もっと有名になっていかなきゃなってその時決意したんです。男か女か、性別を決めつけるんじゃなくて、性別がないっていう状態が、人が、いるってことを私の存在で示したいんですよ。私が一番最初に伝えていかなきゃいけないんじゃないかって。

初恋は中学校くらいの時。同級生の男の子を好きになって、でもいつの間にか友だちみたいになってて。その後も付き合った人はいたんですけど、性別が自分の中で分からない時期で悩んでいたのもあって、それで男の人と付き合ってみたんですよ。申し訳ないんだけど、好きだからっていうより、自分を知るために若干利用したみたいなところはありますね……。でも全然ときめかなかった。周りには恋愛体質の友だちもいて、そういう子がいるように、私は恋愛が自分の中にないだけなんだと思うんですよ。それぞれに好きな色があるのと一緒で、白が好きな子もいれば黒が好きな子もいるっていう感覚です。これ言うといつも笑われるんですけど、たぶん自分が一番好きなんです。なんていうか、まだ自分に恋してたくて。女性のことをこの人綺麗だな可愛いなと思うことはあるんですけど、でもなんとなく心のどこかで自分と比べちゃってて、私ならもっとこうできるなとか。男性も一緒で、もっと格好よくなれるのに、みたいな。異性に恋する時って、自分と違うから好きになるじゃないですか。でも私にとっては男性も女性も自分なんですよ。だから人間に恋はできないかもって思います。

恋されると私すごい怖いんですよ。応えられないことへの恐怖心と申し訳なさとがあって。実際それまでも2人付き合ってみて、ああ無理なんだって思っちゃったんで。恋って求めるものって感じがして、それこそ恋は盲目っていうじゃないですか。逆に愛って、その人のことを好きだけど、ちゃんと見えてる、考えられてるってことだと思うんです。私は愛ってすごく大事にしていて、愛は、恋人同士じゃなくてもある。家族だったり友だちだったり。私は、人を楽しませるっていう喜びを知ってしまったから、恋愛より楽しいことを見つけちゃったんですよ。人を楽しませてわっとくる、その感じが興奮に近いというか。それが恋愛のドキドキよりも大きいって気付いちゃったんです。

私「イケメンになりたい」ってずっと言っていて、それは見た目というより中身で。常に誰かのために何かをするっていうことがすごく好きで、友だちのためにサプライズするとか、すごい好きなんです。誕生日に連れ去って、実はホテル予約してました、みたいな。人って本当に中身が外見に出ると思うので、心を常に磨いてたら、いつかカッコよくなれるんじゃないかって。もし、この先私がスカートとか履き始めたら、私が今みたいな格好をしてるから好きだったっていう人も出てくると思うんですよ。だから内面を磨くんです。外見がどんなに変わっても内面は絶対に変わらないので。人と違うと生きづらさや疎外感を感じる人は多いかもしれないけど、私はものは考えようだなって思っていて、例えば、石の中に一つ宝石があったら輝いてるじゃないですか。それと一緒で、人と違うからこそ輝けてるなって身に染みて思うので、あえてそこを磨いていくことでどんどんどんどん宝石みたいになっていけたらなって思ってます。肯定されなくてもいいけど、否定は無くなっていけばいい。否定しあっているから争いって起こるし、だけど違う意見があるっていうことも大切。だから否定だけはなくなればいいんじゃないかなって。それも愛なんじゃないかなって思います。

The Voice / Nakayama Satsuki
Photographer / Kitaoka Toshiaki
Text / Hata Renna
Edit / Yamawaka Masaya