TOKYO VOICE

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家にある服を
自分で縫って作ってるから細かいところは
ちょっと雑なんです

自分を変えたいとかは思ってない
しっくり来る誰かと出会いたいだけ

服の赤い色は鰹の血なんです

自分で作った服着て、外に出たの初めてなんです。これは「間に合わないかも」って今朝の3時まで作ってた、ホントの出来たてで。コンセプトっていうか分からないですけど、私、女の子の生活を想像してそこから服を考えるんです。このデニムのトップスを作ったのは “ミチコ” っていう引きこもりのゲーマーなんですけど、すっごい自信家で気の強い性格で。これはミチコが家のタンスの引出しにあったデニムをひたすら引っ張り出して、縫い合わせた一番の勝負服。家にある服を自分で縫って作ってるから、細かいところはちょっと雑なんです。胸の刺繍はお台場にある「東京一早い」っていう刺繍屋さんで入れてもらいました。漢字の意味ですか?……なんだっけ。ミチコもあんまり分かってないと思います(笑)。服はもう15枚か20枚くらい作ってますね。中学 1年くらいの時に「作ってみたいな」とふと思って、スカートに布を貼り付けるだけ、みたいなところから始めて。自己流です。叔父さんが自分でお洋服を作るお仕事をしてるので、分からないところは教えてもらって。私、言葉で自分のことを表現するのがすごく苦手だから、好きなお洋服で伝えられたらいいなって思って。作ってる時は無心です。音楽も聴かないくらい。勉強とかはできないんですけど、面白いと思うことには入り込んじゃうので。もう 1 枚のチェックの服? あれはミチコじゃない別な女の子ですね。名前は特にないんですけど、その子はすっごい空気が読めないんです。鰹が送られてきたから「お料理しよう」と思うんですけど、バカだから一匹丸ごとお弁当箱に詰めようとしちゃうの。で、鰹って大きいじゃないですか。それでも無理やりぎゅうぎゅう押しこんだ結果バシャッ! って飛び散って。だから服の赤い色は鰹の血なんです。

想像は、好きですね。1人で想像してる時が一番楽しいかもしれない。「この子は、こういう性格だからこういうことが好きなんだ」とか。中学に入ってからぜんぜん友だちができなくて、しんどい時もあったんですけど、できないものはできないかな、ってずっと1 人で自分の中とお話ししてました。たしかに、そういう時間が服作りとつながってるのかもしれないです。小さい頃から “1 人おままごと” とかよくしてましたし、1 人がそこまで苦じゃないのかも。今も身体動かしたくなったら 1 人でボウリングとか行きます。スコアですか? すっごいヘタクソですよ。 100行かないですもん。あと 1 人バッティングセンターも好き。たいてい空振りですけど、たまにバットに当たることあります。この前は誕生日だったんで、焼肉を食べに行きました。え? もちろん 1 人です(笑)。せっかくだから自分にご褒美をあげたいなって、1 人で行けそうな美味しい店を調べて。誕生日プレートも出してもらったんです。スマホに写真あるんで見ますか? 撮ってくれたのは店員さんです。すごい優しい方で「じゃあ、いきますね! おめでとうございまーす!」みたいな感じで(笑)。すごい楽しかった。

「変わってるね」って言われること、確かに多いですね。自分としてはぜんぜん普通なんですけど、何でしょうね、多分何かが違っててそれで友だちができないのかもしれない。私がみんなの考える “普通” じゃないんだなっていうのは中学に入って分かりました。みんなの「うわー!」っていうノリに全然乗れなくて、でも私にとってそれは普通で。同年代の子が大勢いる場所は前から苦手でした。そういう時は下向いちゃうんですけど、心の中ではいつ話そう、いつ会話に飛びこもう、ってひたすら会話の区切りを待ってて。でも結局飛びこめずに終わっちゃう(笑)。すごい “気にしい” なので人と話すのもすごい体力を使うんですよ。ただでさえノリが悪いって言われてるから、せっかく同級生と話す機会があっても、後から「もっとああいう反応すればよかったかな」とかすごい気になって、夜に 1 人反省会したり・・・(続きは本誌で)

The Voice / Minami Sara
Photographer / Nakajima Yosuke
Styling / Minami Sara, Dohken Yoshie
Hair & Makeup / Fujio Asuka
Text / Kiuchi Aki
Edit / Yamamoto Yuki
Embroidery / OWN ONE SHOP