TOKYO VOICE

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楽しいよ 人に聞かれないと
靴が好きだとか考えてもないけど

許されるなら ずっと
靴のことを考えてえなあ
それだけなんだよ

すごいじいさんがやってる店だと思ってたって、昔はよく言われたね。最近はそうでもないけど、まあ名前が「福祿壽」だから。横文字の名前もいっぱい考えたんだけど、しっくり来なくて実家の寿司屋の名前を付けた、それだけ。何の意味もないけど、今はよかったと思ってる。修理を始めたのは18のとき。靴が好きで、靴職人になろうと思って、その頃は紳士靴をやってた。自分で作ってみたいっていうのがあったんだよ。今みたいにブーツを直すようになったのはバイクのせいだろうな。仲間のバイク乗りから「修理やってくれ」って頼まれて、いつの間にかブーツばかりになっちゃった。別に狙ったわけじゃない、自然な流れだよ。商売? 始めた頃はキツかったね。仕事も全然ねえから店の前でよくキャッチボ ールやってたよ、ヒマ過ぎて。1 週間電話が鳴らないとかもザラで、あんまり鳴んねえもんだから、ちゃんとつながってるのか自分で電話かけてみたりして。店開けて5年くらいはホントにキツかった。でかかったのは雑誌に載っけてもらったことかな。『Free & Easy 』と『VIBES』。 俺も読んでたし。そこから修理の注文が増えてきて、今はブーツの修理が毎日全国から届いてる。送ってもらってだいたい 1 カ月から 1 カ月半で仕上がる感じだよ。忙しさは、はやりの影響とかもあると思う。一時期ブーツがはやったときは修理の受け付けを止めるくらい忙しかったな。

靴って汗吸うと革の状況も変わるし中敷きも硬くなるから、人が履いた靴は一つずつ修理のやり方も違ってくる。修理っていうのは元の形に戻すのが正解だから。そのためにうちは釘 1 本から作ってるし、中底を元と同じ力でグッと入れるために・・・(続きは本誌で)

The Voice / Okuyama Takeshi
Photographer / Abe Yusuke
Text / Kiuchi Aki
Edit / Yamawaka Masaya