TOKYO VOICE

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戦争は終わったことなんだけれど ある時代の誰かにとっては現実
でその誰かっていうのはあなたと同じような人だった
つまり 戦争に遭ったのは あなただったかもしれないんだよね

Twitterの更新、減ってるんですよ。あんまり楽しくないんですよね、ツイートしても。始めたの2009年だったんですけど、そのころは2ちゃんねるとかと比べて牧歌的で、だから始めたんですよ。3.11からですね、厳しい言葉や否定的な言葉が増えていったのは。それまでは言葉が自由に飛びかうところでいいなあ、と思ってました。しばらく『午前0時の小説ラジオ』 っていうのもやってたんですよ。自分の一番いい、きちんとした表現を無料で流す、というものでした。真剣にやってたなあ。でも、今はあのネガティブな雑踏のなかでそんなことやってられない、っていうのが正直な気持ちです。基本的にポジティブなことをつぶやきたいと思うんですけども、何か言うとすぐに否定的なコメントが返ってくる。僕は小説家なので、やっぱりポジティブなことをやりたい。つまり、小説をきちんと書いていこうって思ってます。小説は希望の表現ですからね。この前連載が終わった朝日小学生新聞の小説『ゆっくりおやすみ、樹の下で』は子どもに向けて書きました。表現というものは、たとえ絶望を描いていても希望を求めているものです。特に少年文学の場合は真っすぐに希望を描いていいんじゃないかと思って。僕の住んでる鎌倉が舞台で、小学5年生の女の子が主人公。おばあちゃんの家でひと夏を過ごすうちに戦時中にタイムスリップして家族の歴史をたどる、という作品ですね。言いたかったのは、戦争というものがあった、ということです。それが大変だ、悲惨だというのは映画や本で知ることがあると思うんだけど、それって終わっちゃったことなんですよ。確かに戦争は終わったことなんだけれど、ある時代の誰かにとっては現実で、その誰かっていうのはあなたと同じような人だった。ひいじいちゃんとか、ひいばあちゃんとかね。つまり、戦争に遭ったのはあなただったかもしれないんだよね。と、そういうことを、じんわり伝えられれば・・・(続きは本誌で)

The Voice / Takahashi Genichiro
Photographer / Kikuchi Ryosuke
Text / Kiuchi Aki
Edit / Yamamoto Yuki