TOKYO VOICE

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どん底だと思っても
さらに下に 底がある

迎賓館が見えるこの小さい公園は、私がどん底のころによく来た場所です。このベンチに座り、足元に寄ってきたスズメにパンくずをあげていたのはまだ5年前のことです。行くあてもなく、ここにしばらく座っていて、ただ時間のたつのを待っていました。これからどうやって生きていこうかと必死に考えながら。

「アダルトビデオの帝王」と私が呼ばれるようになったのは1980年代のこと。AV製作会社ダイヤモンド映像を立ち上げ、ブリーフ姿でカメラをかつぎ、「ナイスですね~」と声をかけながら撮影するなど、エロの演出や表現を限界まで切り開いてきました。“ハメ撮り”や“顔面シャワー”、“駅弁”などは私が生み出したスタイルでした。全盛期の年商は100億円。例えば松坂季実子という女優がいましたが、彼女の作品を出せば 1本 1億円の利益が出る。彼女以外にも卑弥呼、桜樹ルイ、田中露央沙など、私の会社にはそうそうたる専属女優がいましたから。

当時は、財布など持ちません。紙袋です。大きな紙袋に1千万円の札束のブロックが 8つ入ります。会社にはいつもそれが4つ置かれていました。10億円でマンションやビルなど 3棟を購入。1億円のロールスロイスに乗って、代々木上原には『迎賓館』と呼ばれる家をキャッシュで建てました。18億円で買ったクルーザーはエレベーター付きの 4階建て。ヘリポートまでついていました。最後にはアダルト放送局をつくるために、衛星放送事業に投資。19億円で放送センターを購入し、毎月 2億 5千万円の電波料を支払っていました。今のようなインターネットのなかった時代に、「空からスケベが降ってくる」というキャッチフレーズに夢を描いてしまったわけです・・・(続きは本誌で)

The Voice / Muranishi Toru
Photographer / Takano Hiroshi
Text / Yamauchi Futoshi